山野拓郎 佐々木凌
日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で原電が提出する資料に誤りが続発していることを受け、規制委は5日、原電に対し、審査の申請書の内容を修正して8月末までに出し直すよう行政指導する方針を決めた。2号機の審査は昨年12月に約2年ぶりに再開されたばかりだったが、再提出されるまで中断する見通しになった。
原電に申請書の出し直しを求めるのは、焦点になっている2号機直下の断層についての内容。規制委の山中伸介委員長はこの日の記者会見で、再提出される申請書をもとに最終的な判断をする意向を示し「審査を続けるか、その補正書(申請書)で不許可・許可の判断をするかの2択になる」と述べた。
規制委の会合では、原電に対して申請自体をいったん取り下げるよう求める案も検討されたが、再申請に時間がかかることや、審査側の負担の大きさを考慮して見送った。
敦賀原発2号機をめぐっては、規制委の有識者会合が13年と14年の2度にわたって直下の断層を「活断層」と判断する報告書案をまとめた。活断層である敷地内の浦底断層が動くと、一緒に動くおそれがあるという。国は活断層の真上に原子炉建屋などを設置することを認めていない。一方で原電は「活断層ではない」として15年11月に審査を申請していた。
審査の過程で19年、資料に1千件以上の誤りが見つかった。原電は資料を再提出したが、20年にボーリング調査による敷地内の地層の観察記録を無断で書き換えていたことが発覚。審査が約2年間中断した。昨年12月に審査が再開されたが、以降も資料に計165件の誤りが見つかり、実質的な審査ができない状態が続いていた。
申請書の再提出を求める行政指導は、17年に東京電力に対して出された例がある。柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の審査で免震重要棟の耐震性不足を把握しながら規制委に報告していなかった問題が持ち上がり、当時の広瀬直己社長に申請書の再提出を求めた。(山野拓郎、佐々木凌)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル